40代おじさん、おジャ魔女どれみにハマる

映画「魔女見習いをさがして」をキッカケに沼に落ちました

「魔女さが新規」から見た、瀬川おんぷちゃんという存在

名作には、葛藤や対立する概念が描かれている。

おジャ魔女どれみにおいて、その役目を担ってるのはおんぷちゃんだと思う。どれみちゃんという存在に対して、対になる存在として描かれてる瀬川おんぷちゃん。おジャ魔女どれみをおもしろくしたのはおんぷちゃんだ、と言っても過言ではないと思う。

「魔女見習いをさがして」でファンになったド新規ニワカのぼくから見た、おんぷちゃんについて書きたいと思います。

おんぷちゃんとのファーストコンタクト

ぼくがおんぷちゃんを初めて認識したのは、映画「魔女見習いをさがして」で、思ったことをズバズバ言うミレさんに対して「おんぷちゃんみたいですね」とソラさんとレイカちゃんが言ったとき。

3人の頭上に浮かんだおんぷちゃんの「てへっ♪」が初対面でした。

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公式LINEスタンプより

今から考えてみると、オープニングのシルエットにおんぷちゃんはしっかりと描かれているのだけど、そのときはまだわかってなかったんですね。

映画のストーリーが進んでいくと、おんぷちゃん推しの青年が現れる。近鉄電車で相席になったときのシーン。

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『魔女見習いをさがして』ヒロインたちをとりまくメンズたちの新映像 | ORICON NEWS

ももクロリーダー百田夏菜子の声による、レイカちゃんの、

「おんぷちゃん、好きなんですか?」

「だからぁ〜おんぷちゃん♪」

は、いい意味で夏菜子っぽさがあって今でも脳内再生余裕。好きなシーンなんですよね。

「今はおんぷちゃんひとすじです!」

「男子は全員おんぷちゃん推しですから!」

それからこんな感じのセリフが続く。おジャ魔女どれみを知らなかったぼくは「なるほど、おんぷちゃんってのはそーゆー感じのキャラなんかな?」と思った。男性人気が高い、いわゆるあざとい感じのキャラなんかな、と。

終わらない物語とおんぷちゃん

そして映画のエンディング。

流れる「終わらない物語」にすこぶる涙し、これを歌ってるのが"おんぷちゃん"であることを知って少々驚く。

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今も書きながら聴いてる終わらない物語

いや、主人公のどれみちゃんじゃないんだ…って。映画のエンディングという大役を果たすのが、おんぷちゃんなんだ、と。

ソラ、ミレ、レイカの推しのキャラクターが順にどれみちゃん、はづきちゃん、あいちゃんだったこと。

おぼろげに記憶にある、娘が見ていたおジャ魔女どれみは、確かその3人が中心だったから、この時点でぼくの認識は"おんぷちゃんとは準主役"みたいな位置付けだったんですね。

なぜ、おんぷちゃんが映画のエンディングを任されるのだろう?それほどまでのキャラなんかな?単にかわいいキャラで、男性人気があるってだけではないのかな?そんな興味が湧いた。これがおんぷちゃんとのファーストコンタクトです。

アニメを見始めてからのおんぷちゃん

帰宅後、アニメを見始める。4年間で201話らしいから、これは見るのが大変だぞ…と、思いながらも、映画が本当によかったので、なんとか完走しようという気持ちでコツコツ見てました。

35話で、ようやくおんぷちゃん登場!これが2度目の出会い、と言いたいところだけど、実はそれまでに映画を3回見ていたので、どうカウントしていいかはちょっと不明(笑)

3回見たと言っても同じ映画なので、印象はそれほど変わってはないのだけど…オープニングのシルエットでホウキに横座りで乗ってるのが2人いて、その1人がおんぷちゃんであることには気づいてた。

さらには、走ってるシーンのシルエットになってる手の角度が女の子らしい。

なるほど、やっぱりおんぷちゃんはあざとい感じのキャラなんだな、そう思ってた。

転校生は魔女見習い!?を見る

そして35話を見る。

なるほど。ライバル的な立ち位置での登場なわけね。ちょっとダークな感じではあるけど、チャイドル設定で、そりゃ男子に人気出るわけだよな、と納得。

しばらく見ているとあることに気づく。なるほど、おんぷちゃんはどれみちゃんの対にあるキャラクターとして描かれてるんだな、と。

魔女になるための試験では、落ちこぼれのどれみちゃんに対して、飛び級で合格する天才肌のおんぷちゃん。

憧れた男の子と、ことごとくうまくいかないどれみちゃんに対して、クラスの男子全員から人気のおんぷちゃん。

そして何より、魔法の使い方ね。

どれみちゃんが人のために魔法を使うのに対して、おんぷちゃんは自分のために使うというところ。

なるほど、おんぷちゃんというのは、作品の中で主人公のどれみちゃんと対になる存在として描かれてるわけか。

はづきちゃん、あいちゃんもそれぞれの魅力があって、どちらも余裕で1本ブログ書けるくらい好きなんだけど、おんぷちゃんが出てくることでストーリーに厚みが増したと思う。

やはり、対立するキャラクターの存在は受け手にいろんなことを考えさせる。対立といっても、嫌なキャラクターに写らないのがおジャ魔女どれみの好きなところなんだけどね。

 

「おんぷちゃんって自己中だよねー」

「いやいや、でも小学3年生ならあれが普通じゃない?」

「禁断魔法とかダメだよ!」

「でもお守りがあるから大丈夫じゃん」

「そういう問題じゃないよ!」

 

楽しいが中心だったおジャ魔女どれみの世界に、こんな風な語りシロ(想像です)が一気にできた感じ。おんぷちゃんという存在を通じて、どれみちゃんたちが大事に思ってるものが浮き彫りになる感じになったな、と思った。

「自分のために魔法を使っちゃダメだよ!」に対して、「なんで?」がないとただの説教になってしまうわけですね。おんぷちゃんのおかげでどれみちゃんとのやり取りの中で受け手が自然と考えれる形になったと思うんです。

 MAHO堂の正式メンバーとなったおんぷちゃん

1期が終わり、まぁ本当はこのラストシーンだけでもおんぷちゃんについて書きたいことはたくさんあるんだけど、今回は割愛して…2期以降でおんぷちゃんは正式にMAHO堂のメンバーとなる。その後のおんぷちゃんを見ていると、あることに気づく。

どれみちゃんの対になるキャラクターとして描かれてるおんぷちゃんに、もうひとつ見えてくる重要な対となるものがあったのだ。

それが、どれみちゃんが表で動くのに対し、おんぷちゃんは影で動く。そう、おんぷちゃんはシリーズを通じてフォロー役に回るシーンが本当に優れているなと思うんですよ。

ももこのママ修行

印象に残ってるのをあげると、3期32話の「ももこのママ修行」とかね。

3期から仲間に加わったももちゃんがハナちゃんのママになりたい!と空回りしながらも奮闘するエピソードなんだけど、あるミスでハナちゃんがお腹を壊してしまうというシーンがある。

そこで、あいちゃんに怒られてももちゃんは逃げ出してしまうんだけど…ここですかさずフォローに動いたのがおんぷちゃんなんですよね。

みんなで!メリークリスマス

さらにさらに!これはもうおんぷちゃんフォローエピソードの代表格といっても全員が納得すると思うんですが、同じく3期45話の「みんなで!メリークリスマス」ね。

不登校長門かよこちゃんがついに学校に行くということで知られる感動の神エピソードなんだけど、どれみちゃんがいかんなく主人公としてのパワーを発揮してる裏で、密かにかよこちゃんのフォローに回ってるのがおんぷちゃんなんですよ。

保健室でのかよこちゃんと話すシーンね。あれば本当にいいシーンだよね…

そう、関先生は「長門が学校に来れたのは春風のおかげだと思ってる」って言ってて、もうまさにその通りなんだけど、実はおんぷちゃんも人知れずいい働きをしてるんですよ!

こんな風に、ドジと天才肌…のような単純な正反対としての"対"ではなく、同じ「やさしさ」というベクトルの中での解決方法が"対"になってる、というのがおんぷちゃんの魅力で、これこそが映画のエンディングを任されるほどの魅力になってるんだなぁと思うんですよ。

卒業式でのおんぷちゃん

最後に、おんぷちゃんは卒業式のシーンでどれみちゃんにこう言いましたよね。

「どれみちゃんがいなかったら、わたし…嫌なアイドルになってたかもしれない!」

このシーンが象徴するように、おジャ魔女どれみのクチコミを見てると「おんぷちゃん、初期と比べて変わったよね」って声が多くある。

この卒業式の言葉を見ると、おんぷちゃん自身もどれみちゃんに影響を受けて変わってるということが明らかにわかる。

ただ、ぼくは思ってしまう。おんぷちゃんは本当に変わったのだろうか?と。

もちろん変わってはいるんだけど、どうも見ているとおんぷちゃんらしさは何も変わってないと思わせるシーンがたくさんある。

そう、つまりおんぷちゃんは自分は変えずに、「大切にするもの」だけを変えたのではないかな?と思うんですね。

これうまく伝えれるかわからないんですけど、まぁそれ以前にただのぼくの想像でしかないんだけど…おんぷちゃんはどれみちゃんに会って「友達っていいな」って思った、それだけだと思うんですよ。

これね、聞けばなんだか当たり前のように聞こえるかもしれないけど、めちゃくちゃ難しいことだと思うんですよ。多くの人は、何かに影響を受けると「今の自分ではダメだ!」と自己否定して、自分を変えようとするじゃないですか。

それこそおんぷちゃんのように自己中な子が、どれみちゃんを見て「いいなぁ」と思ったら、自己中を捨てようとすると思うんですね。自己中を直さなければ、わたしは愛されない!的な。

でも、おんぷちゃんはそこは何ひとつ変わらなかった。おんぷちゃんは初登場時から、気高く、努力家で、弱さを見せない。卒業式直前に、ひとりひとりがどれみちゃんと別の道を行くことに葛藤するエピソードが描かれたけど、おんぷちゃんだけそれがなかった。

ファンはそれがさみしいのかも知れないけど、ぼくは逆に「描かれないことで、おんぷちゃんの意志の強さ」を見た気がした。

でも、それが決して友達を思ってないということではないのだ。そんな感じのことが言いたいんだけど伝わるかな。

どれみちゃんと"対"のままで、おんぷちゃんは友達を大事にした。

他の誰かになるんじゃなく、自分のままで結果だけ変えてしまった。

そこに、瀬川おんぷ瀬川おんぷたる所以があると思うのです。

おんぷちゃんがおジャ魔女どれみのストーリーに深い思想性を与えてくれたのは間違いないと思う。

もうね、そんなおんぷちゃんの魅力を知ってしまい、ただのあざとくてかわいいキャラなのかな?と思ってた自分の愚かさに笑ってしまうのと、そういう期待の超え方がおジャ魔女どれみはズルいなぁと思うのです。

 

おんぷちゃん、誕生日おめでとう!